対談 中原大+菖蒲治中原−これは版画ですね。
菖蒲−ああ、版画だね。
中原−版画にもいろいろありますね、木版とかリトグラフとか。
菖蒲−うん、いろいろあるね。
中原−この人の作品はどういう技法を使っているんですか?
菖蒲−知らん。何故そんな事を訊くんだ?
中原−・・・・・・。
菖蒲−ここに描かれた人物だが、どいつもこいつもデブだな。
中原−肥満体?
菖蒲−いや、肥満ではない、豊満だ。
中原−どうしてこういうキャラクターを描くんでしょうね。
菖蒲−好きなんだろうな、太っている奴が。
中原−作者の好み?
菖蒲−ああ、デブ専だ。
中原−デブ専!
菖蒲−おまけにスカトロも入っている。
中原−うへっ、マニアですね。
菖蒲−この作品を見たまえ、空からボタボタ落ちてきている物体が何に見える? 俺には排泄物にしか見えないね。
中原−え、でもほら、この人なんか口で受けている。
菖蒲−だからスカトロなんじゃないか。
中原−うーん、作者は一体どんな人なんでしょうねェ。
菖蒲−おっ、ここに作品解説があるじゃないか。
中原−なになに、わたしにとって作品は日記のようなものです、ってな事が書いてありますね。
菖蒲−そうか、日記か、それでこんな赤裸々に作家の心理が表れてしまっているんだな。
中原−心理って?
菖蒲−トロいねェきみは、デブ専でスカトロってことだよ。
中原−えー、普段からそういう事をやってるんですか、作者は?
菖蒲−知らん。おそらく本人にもその意識はないだろう。仮にだ、そうした傾向が日常生活の中で抑圧される状況にあるとする、しかし、創作がそれを解消している。
中原−はー、でもそのデブ専スカトロプレイにつきあわされるぼくたちは、たまったもんじゃありませんね。
菖蒲−他人の日記なんか覗くもんじゃないって事だよ。
Ayame−鈴木大治