平成11年度静岡県芸術祭 演劇コンクール審査評



静岡総演劇化計画(ママ) 『さよなら人類−また明日へ−』

(8月8日 静岡市視聴覚センター 大野裕明・作・演出)

 集団創作という安易さが観客の期待を裏切った。ばらばらな習作をただつなぎ合わせただけの台本では、観客無視の自己満足に終わるだけである。複数の作家を起用する場合は特に演出者の責任が重くなる。旗揚げ公演ということだが、もっと周到な準備をしてほしかった。シアターオリンピックス「忠臣蔵」の出演体験者が中核となっているとのことであるが、とてもその成果は感じられない。一体何を学んだというのであろうか。出演者が楽しければいい、という発想には観客の要素が抜け落ちている。遊び半分の舞台では観客の心をとらえることはできない。